こんにちは!犬の管理栄養士・むっちーです!
愛犬にはできるだけ体によい安心なドッグフードをあげたいと考える飼い主さんは多いですよね。
けれども店頭やネットには、数えきれない種類のドッグフードがズラリ。その中からどれを選んだらいいのか、迷ってしまって選べないという人も多いでしょう。
- よいドッグフードの基準がわからない
- 年齢に応じてドッグフードは変えた方がいい?
- 添加物って体に悪いの?
- ヒューマングレードがいいって聞いたけど、どうして?
飼い主さんを悩ませるドッグフードの疑問。
今回は、愛犬のとらじと一緒に【ドッグフードの選び方】の基本を解説します。
僕がわんこ目線でお伝えするよ!
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ドッグフード(犬のごはん)の種類について
メインの食事としてのドッグフードは主に4種類に分けられます。
- ドライフード
- セミモイストフード・ソフトドライフード
- ウェットフード
- 手作り食
それぞれの特徴と、メリット・デメリットをみていきましょう。
ドライフード
水分含有量が10%程度以下のドッグフードです。
水分含有量が13%以上になるとカビの生える可能性があるため、安全性に配慮して10%以下となっています。
粉砕・配合した原料を、加熱・加圧押出機で発泡・成型した後に乾燥・冷却してつくられています。
【メリット】
- 長期保存ができる
- 食事の準備が簡単
- 水分量を少なくして栄養を凝縮させているので、給与量が少なく経済的
- フードだけで1日に必要な栄養素をバランスよく摂取できる
【デメリット】
- 水分含有量が少ないため、意識して水分補給をさせる必要がある
- 他のフードに比べると風味が落ちるため、食いつきが悪い場合もある
- 栄養素が凝縮されているため少量しか与えられず、満腹感を得にくい
- 硬さによっては、シニア犬や病気によって噛む力の落ちている犬は食べにくい
日本のワンコのごはんは、手軽に栄養バランスも摂れるドライフードがメインだよ。
食事から水分を補給できないから、お水をたっぷり飲むのを忘れないでね!
セミモイストフード・ソフトドライフード
水分含有量が25〜35%程度のドッグフードです。
ドライフードのように乾燥させていないため、「半生タイプ」とも呼ばれています。
セミモイストフードとソフトドライフードの違いは、製造段階で発泡させているかどうか。
発砲させていないセミモイストは、空気が含まれていないため、しっとりもっちりとした食感です。
発砲によって空気が含まれているソフトドライは、しっとりとした食感でありながらカリカリ感もあります。
どちらも、水分のあるしっとりさを保つために湿潤調整剤と品質保持の為の添加物を使用しています。
【メリット】
- 開封前なら長期保存ができる
- 嗜好性が高く、食いつきがいい
- やわらかいため、シニア犬や噛む力の落ちている犬も食べやすい
【デメリット】
- 開封後の賞味期限が短い
- 栄養バランスよりも嗜好性重視のため主食向きではないものが多い
- ドライフードより値段が高めのものが多い
- 添加物が多い
主食ではなく副食としてつくられているものが多いから、与え方に注意してね。
最近はドライフードとセミモイストフード・ソフトドライフードの混合フードも販売されているから、明確な分類が難しくなっているといわれているよ。
ウェットフード
水分含有量が75%程度のドッグフードです。
主に、缶詰やアルミトレー、レトルトパウチで販売されています
【メリット】
- 水分含有量が高いので、水分補給にもなる
- 嗜好性が高く、ニオイも強いため食いつきが極めていい
- 消化によく栄養が吸収されやすい
- やわらかいため、シニア犬や噛む力の落ちている犬も食べやすい
- 水分量が多いため、たっぷり食べてもカロリーが低い
- 長期保存できる
【デメリット】
- 開封後の賞味期限が短い
- 値段が高い
- 歯石がつきやすい
- 添加物の使われているものが多い
噛む力が弱く、食欲や消化力の落ちてきたシニア犬さんにはウェットフードがおすすめだよ。
シニア犬さんは水分も不足しがちだから、ごはんで摂れるのが嬉しいね!
若いわんこは、必要な栄養を摂るためにドライフードと併用するといいよ。
手作り食
食材を用意してつくる犬用のごはんです。飼い主さんが手作りする場合と、手作りごはんを販売しているショップや業者から購入する場合があります。
【メリット】
- 食材からも水分が摂れる
- 好みやアレルギー、体調に合わせて食材や量を細かく対応できる
- 材料がわかっているので安心
- 愛犬の満度度が高く、満腹感を得やすい
- 飼い主さんと一緒のごはんを食べられる
【デメリット】
- 完全手作り食にするには、栄養バランスやカロリーの知識が必要
- ごはんを作る手間がかかる
- 保存ができない
栄養バランスやカロリーが心配な場合は、トッピングだけ手づくり食にする方法もオススメ。
ドライフードのデメリットである「食いつきの悪さ」や「水分量の少なさ」をフォローして、満腹感も得られる方法だよ。
それぞれにメリットとデメリットがあるので、愛犬の好みや体調、飼い主さんのライフスタイルに合わせて選びましょう。
もちろん、どれか一つに絞る必要はなく、「忙しい平日はドライフード・時間のある週末は手作り」「食欲がない日はウエットフード」のように、変化をつけてもOKです。
ドッグフードのパッケージ・チェックすべき3つのポイント
ドッグフードを選ぶ時には、パッケージにある情報をチェックしましょう。ここでは、チェックすべき3つのポイントについて説明します。
(1)総合栄養食か
多くの飼い主さんは、ドッグフードと聞くとドライフードやウエットフードなどの主食のフードをイメージするかもしれません。けれどもドッグフードは「犬の食べもの」全般のこと。
ドッグフードには「総合栄養食」の他に、おやつなどの「間食」・病気の犬が獣医師の指導の元で食べる「療法食」・サプリメントやトッピング用フードなどの「その他の目的食」があります。
「その他の目的食」は「一般食」「副食」「カロリー補給食」「栄養補完食」とか書いてあるやつだね!
犬の主食にふさわしいのは「総合栄養食」と表記されているフードです。
「総合栄養食」とは「このフードと水だけで、犬の必要な栄養素はすべて摂れる」もので、商品パッケージの銘柄の下や原材料表示の近くに必ず記載されています。
ウエットフードやセミモイストフードとソフトドライフードは「その他の目的食」も多いので、パッケージで確認するようにしましょう。
総合栄養食ならどれでもいいの?
子犬と老犬で同じドッグフードを食べてもいいのかな?
犬は成長段階に応じて必要とされる栄養の基準が変わってきます。
たとえば、子犬用のフードは少量で高い栄養価がとれるようになっています。成長に必要なためですが、成犬になっても子犬用のフードを食べ続けていると肥満などのリスクが高まります。
また、シニア用のフードはかかりやすい病気に配慮した成分を加えたり、食欲の落ちてきやすい年齢に合わせて食欲を刺激したり、少ない量でも栄養をしっかり摂れるような工夫がされています。
食欲が落ちてきてあまり食べないのに若い頃と同じフードを続けていると、必要な量が摂取できないため栄養不足になってしまう可能性もあります。
フードは何歳から切り替えたらいいの?
人間でも、成長のスピードはそれぞれですよね。年をとってもハツラツとしている人もいれば、同じ年齢なのにそうでない人もいます。それは犬でも同じです。フードの切り替えは、愛犬の体調や食欲などの変化をみながら、獣医師さんと相談して決めましょう。
「総合栄養食」では与える成長段階も必ず記載されています。愛犬のライフステージに合ったフードを選ぶようにしましょう。
※日本で販売されているドッグフードは、米国AAFCOが定める栄養基準をクリアしたものだけを「総合栄養食」と表示することが許されています。AAFCO(米国飼料検査官協会)とは、ドッグフードを含むペットフードの栄養基準やパッケージの表示基準を制定している米国の団体。AAFCOの基準が世界基準と言われています。
(2)主原材料が良質なタンパク質か
犬に必要な三大栄養素はタンパク質・脂質・炭水化物です。そのなかで、最も大切ともいえるのがタンパク質。
タンパク質は、筋肉・皮膚・血液・内蔵・骨・爪・被毛など、犬の体のほぼすべてを健康に維持するために使われる重要な栄養素です。そのため、良質なタンパク質が主原材料のドッグフードを選ぶ必要があります。
良質なタンパク質って言われても、よくわからないワン。
具体的には、どんなタンパク質を選べばいいのか知りたいな。
タンパク質は約20種類のアミノ酸で作られていますが、その中に体内で合成できないため食事で摂取しなければならないアミノ酸があります。それを「必須アミノ酸」と呼び、犬に必要なのは10種類の必須アミノ酸です。
その必須アミノ酸がバランス良く含まれているものが「良質なタンパク質」です。
私たちにわかりやすいのが、バランスを数値化した「アミノ酸スコア」で見る方法。最大スコアが100で、高いほど体内で効率よく作用します。
【ドッグフードでよく使われるタンパク質・アミノ酸スコアの比較】
食品 | タンパク質の種類 | アミノ酸スコア |
肉類・魚類 | 動物性タンパク質 | 100 |
卵 | 動物性タンパク質 | 100 |
とうもろこし | 植物性タンパク質 | 74 |
大豆 | 植物性タンパク質 | 86 |
よく使われる肉や魚などの動物性タンパク質は、最高値のスコア100ですが、植物性タンパク質のアミノ酸スコアは少なめです。また、もともと肉食だった犬は、動物性タンパク質の消化・吸収が得意なため、アミノ酸スコアの高い、良質なタンパク質・動物性タンパク質が主原材料のフードを選ぶようにしましょう。
■原材料と保証分析値(成分表示)を見よう
パッケージの原材料は、原材料に占める重量の割合の多い順に記載されています。つまり最初に書いてある食材が、そのフードでメインに使われているものです。
原材料は表示スペースが小さく全てを記載するのが難しいことを考慮し、添加物以外は分類(肉類・魚類・野菜類など)で表示できます。つまり、分類でまとめられた食材をそれぞれ別に見た場合は、記載される順(使用されている重量の順番)が変わる可能性もあるということ。
分類ではなく「チキン」「ターキー」のように肉の種類で記載されているものを選ぶと安心です。
また、原材料の他に五成分(粗たんぱく質・粗脂肪・粗繊維・粗灰分・水分)の保証分析値表示もあります。保証分析値は、AAFCOが定める総合栄養食の基準値をもとに表示されます。
なんだか難しそう。原材料表示を見ればOKじゃないの?
保証分析値では、タンパク質・脂肪は「最低栄養含有量」を保証するため「○%以上」と記載されます。つまり「必要な量は十分入っているよ」という意味です。
一方、繊維・灰分・水分は、多すぎるとカロリーや栄養素が不足する可能性があるため「最大含有量」を保証して「○%以下」、つまり「これ以上は入れていないよ」という意味で記載されています。
わんこに必要のない添加物がつかわれていないか
食品添加物と聞くと、なんとなく不安・よくわからないけれど避けた方がいいのかなと考える飼い主さんも多いかもしれません。けれども実際は、ドッグフードの品質や安全性を確保するために必要な添加物も多くあります。
犬が安心して食べられるために必要な添加物と、犬には必要のない添加物を知ってドッグフードを選びましょう。
ドッグフードは、主要原材料だけで必要な栄養素をすべて補うのは難しいから、ミネラル類やビタミン類などの栄養添加物はとっても大切なんだワン。
ドッグフードの添加物は、主に「栄養バランス」と「品質安定」「保存性」のために使用されます。これ以外の目的で使われる添加物が、犬には必要のないものです。
犬に必要のない添加物って、具体的にはなにがあるの?
たとえば、犬に必要のない添加物の代表的なものに、見た目をおいしそうに見せるための着色料があります。カラフルな色づけは、犬にとっては関係ないですよね。また新鮮なお肉の色味を演出するために使われる発色剤も、犬には必要ありません。
もちろん、すべての添加物は「ドッグフード安全法」により安全基準の範囲内で使用されていますが、できるだけ必要のない添加物はさけたいですよね。
日本では、ペットフード公正取引協議会の制定した「ペットフードの表示に関する公正競争規約」により、国内で流通するすべてのドッグフードのパッケージに添加物の個別名称を表示することが決められているので、しっかりとチェックしましょう。
ヒューマングレードってどこがいいの?
「ヒューマングレード」とは、飼い主(人間)さんが食べるものと同じ基準で作られているという意味です。
ドッグフードは「食品衛生法」の適応範囲外です。そのため、私たちが口にする食品と同じような食材や、管理・衛生の基準がドッグフードでは期待できない可能性があります。「ヒューマングレード」のドッグフードは、私たちが食べるものと同基準でつくられているため、安心して犬に与えられるのです。
食品の原産地や使った部位がわかる
たとえば「ペットフード安全法」で原材料名の表示は義務付けられていますが、原産国は最終加工した国の表示となります。つまり、どこの国から輸入した食材でも国内で加工すれば「国産」と表示されます。
一方、ヒューマングレードのドッグフードでは産地を表示するのが一般的です。
また、肉や魚のどの部位を使ったかも表示義務がないため、畜産副産物を使用した「ミール」などは、どの肉のどの部位かわかりませんが、ヒューマングレードでは肉の種類や部位を表示するのも大きな違いです。
※ミールというと廃棄すべき部位を使った粗悪なものというイメージをもつ人もいますが、現在は食用とならない部分の使用は禁じられています。
使っているお肉の種類や部位がわかると、アレルギーのあるわんこも安心だね。
添加物が人間と同じ基準なので安心
使われる食品添加物も、私たちが口にするものと同じ基準で使用されます。ヒューマングレードのドッグフードの多くは、無添加や自然由来のものが使用されています。
製造工程や衛生面も安心
ドッグフードは法律上は「食品」ではなく「雑貨」扱いのため、製造過程では人間用の食品ほど厳しい基準は設けられていませんが、ヒューマングレードは人間の食品と同じ品質管理下で製造されます。
また、多くの場合、加工方法も食品そのものの栄養素がなるべく減らないように、低温調理されるなどの工夫がされています。
いいことばっかりだワン!ヒューマングレードのドッグフードなら安心だね!
実は「ヒューマングレード」には、法による明確な定義などはないため、メーカーによってその基準は異なります。
つまり、各メーカーが自由に表記できるため「ヒューマングレード=良質なフード」とはいいきれないのです。
「ヒューマングレード」のドッグフードの多くは、公式サイトなどでフードをつくる上でのこだわりを公表しています。安心できるフードを選ぶために、そのメーカーの「ヒューマングレード」の基準を確認するとよいでしょう。
まとめ
日本で販売されているドッグフードは、基本的に一定の基準を満たしたものです。あとは、愛犬の性格や嗜好、飼い主さんのこだわりやライフスタイルに応じて「うちの子にぴったり」なドッグフードを見極められるとよいですね。
特定の種類やメーカーのドッグフードに決める必要はありません。その時々の愛犬の状態や飼い主さんの状況に応じて、フードを探して試してみるのもよいでしょう。
愛犬にとって、ごはんの時間は1日の中でも最大のイベントです。
ワクワクした気持ちを提供しつつ、元気と健康のために最良のドッグフードを選びましょう!
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